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This article was written on 16 9月 2007, and is filled under books, technical books.

オブジェクト指向入門 第2版 原則・コンセプト

オブジェクト指向入門 第2版 原則・コンセプト
バートランド・メイヤー 酒匂 寛
翔泳社 (2007/01/10)
売り上げランキング: 13464

訳者であるardbegさまより頂いた本です。
(課題ともいいますし、ダダをこねて奪い取った気もします;)

オブジェクト指向入門に続く第2版で
本のボリュームは恐ろしい程にグレードアップしています。(^^;
本自体も大きくなってますが、ページ数も増大。
なんと960ページもあります。
でも上巻との事。
ボリュームだけではなく、中身の濃さについていけない私の脳みその都合もあって
読み終わるのに1ヶ月以上かかりました。(^^;;;
私の場合、通勤電車の中は基本的に勉強の時間と思っているので
毎日平均して4~50分は読んでいるのですが
理解が浅いと思えば、戻って読んでいたり
仕事が忙しくて朦朧としている時は気絶していたりして
何だかんだで1ヶ月以上は持ち歩き。(しかも重い・・・)
自前でつけたブックカバーも擦り切れて、3回は取り替えました。(笑

オブジェクト指向入門もそうですが
初心者向けの入門書では決してありません。
ある程度「オブジェクト指向というものを理解しているつもり」の人位が丁度良いかと思います。
が、あくまでも入門です。
実際に読んでみて入門であり、基礎であり、
これらを理解する事がオブジェクト指向を理解し、使いこなす為に必要最低限のものだと思いました。

ソフトウェアの品質について明確な定義を行う事から始まります。
日々、漠然としか認識していなかったのもあって
そうだよね。と思う部分と、そう踏み込んで考えるのかという新たな発見があります。
この後者の感覚が重要だった様で
読む前と今ではソフトウェアに対する考え方が変わってきました。
これがオブジェクト指向の定義、モジュール性、再利用性、抽象データ型、クラス、オブジェクトと続いていきます。

メモリ管理の部分は結構熱狂しながら読んでいました。(笑
昔、ガーベジコレクションって凄いな、どうやってるのかな?なんて思った記憶があるのですが
そのままになっていました。
その答が書いてあるので、おおお!と思いながら楽しく読了。

契約による設計の部分は
過去に「課題・仕様・設計」といった本で鍛えられていたのもあって(笑
割と理解しやすかったのですが
この本では更に踏み込んで「モジュールはどのようにふるまうべきなのか」という事の答があります。
これは私にとって目が覚める様な感覚でした。

例外処理についても同様で
何となく、当たり前の様に行っていた例外処理が
実にアマチュアな、ダメな例外の使い方をしていたと認識しました。(^^;
そもそも例外処理って何?という事から考えさせられます。

継承に関しても分かっているつもりだったんだなと痛感。
ここまで考えて継承というものを使ってませんでした。ごめんなさいという感じ。
特にJAVAがメインの私にとって、
初めのうちは多重継承の利点が分からなくて苦しみましたが
目からウロコを落としながら読めました。この感覚が楽しいんですね。(^^ヾ

この上巻(下巻があるそうですよ;)を読み終えて思うのは
これでやっとオブジェクト指向のスタート地点に立てるかな?という事です。
おそらく下巻も終わって初めてスタートなのだと思いますが
新しい世界が見え始めた様な感覚で、
下巻を読むのが楽しみで、わくわくする様な感じです。
読むのには苦労しますが、非常に楽しい本でした。

また、生意気を申し上げるようで恐縮なのですが
訳が非常に素晴らしいです。
(や、すみません。ホントに。未熟者が;)
名著と呼ばれる本でも訳が良くないと最悪の理解しがたい本になるのですが
(その最たる物は私の中ではアナリシスパターンかと;)
まるで始めから日本語で書かれた書籍を読んでいる様に自然に読めます。
今までは何とも思っていなかった部分ではあるのですが
最近、訳書を読む機会が多くて、そんな事も気になる様になりました。
全然理解のしやすさが違うんですよね。

上巻を読んだだけですが、自分のソフトウェアに対する認識や
創るソフトウェアが劇的(私の中では)に変わりました。
自分の創るソフトウェアが下巻を読み終えた時に、
どのように変わっていくか楽しみです。

この素晴らしい本が日本語で読める事に感謝します。

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