グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)
トム・ロブ スミス
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グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)
トム・ロブ スミス
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チャイルド44の著者であるトム・ロブ・スミスの最新刊で
原題はThe Secret Speechですが、邦題は何故かグラーグ57になっています。
(物語の中心がグラーグ57で起きているからなんでしょうけど違和感があります)

前作の続編となっていて、今回の主人公もレオ・デミドフです。
今後、もう1作、この続編が発表されて3部作となるそうで、今から楽しみにしています。

前作程、盛り上がりには欠けるものの十分面白く、一気読みしてしまいました。
著者の調査も徹底していて、当時の状態が良く描かれていると思いました。
丁度、ソ連が崩壊に向けて動く激動期で、その混乱が良く伝わってきます。
前作と合わせてお勧めです。

邦題になっているグラーグというのはГУЛАГと表記し、
収容所として表現されている様ですが、実際には収容所そのものではなく、
管理部門を差す言葉です。
Главное Управление Лагерей(収容所本部)の略称です。
(収容所そのものを差す場合もある様ですが)
収容所そのものはЛагерь(ラーゲリ)と言いますが
実際には、ロシア語でЛагерьといえば
単純にキャンプという単語でもあるのでグラーグとしたのだと思います。
(収容所とするのは軍事用語として使う場合)

Магадан(マガダン)近郊の悪名名高いКолыма(コルィマ)の収容所が
そのモデルとなっている様です。
当時のマガダン付近のグラーグの位置関係の地図までは見つけましたが
グラーグ57という名称の収容所本部があったのかまでは分かりませんでした。
コルィマ収容所はアウシュビッツに並ぶ最悪の収容所として有名です。

この収容所ではビタミン不足による壊血病を防ぐため、
松葉などの薬草?を漬けた水を囚人に与えていたそうですが
それと思わせる描写も作中に登場します。
本当に調査をされて描かれているんですね。(^-^