ジーン・ワルツを代理母(ジーン・ワルツの主人公の母)の視点で描かれたものです。
ジーン・ワルツは福島県立大野病院の帝王切開死亡事故をベースに描かれていましたが
本作は代理母について考えさせられる内容になっています。
代理母とそれを取り巻く現状について、何が正しくて、何が正しくないのか
私には判断が出来ませんが(本書を読み終わった今でも)
著者の中でも判断しきれていないのではないかなぁと思いながら読んでいました。
そもそも、どちらかが正しくて、どちらが正しくないという話でも無いのかもしれませんが。
少なくとも代理母について改めて考えるきっかけにはなりました。
今まで、医療の現状について発信するために作品を発表し続けている著者の
本書における目的は、その事にあったのではないかと
勝手ながら想像しています。
主人公が柔らかな性格である事が、
本書の読みやすさ、受け入れやすさを高めている様に思います。
難しい事はあまり考えた事が無い、
医学的な知識も法律的な知識も特別に持ち合わせていない様な
どこにでもいそうな女性が代理母となり、
代理母として引き返せない所まできた所で、それらの現実、現状を知り、考えて行く
そのプロセスは同様に代理母について深く考えた事の無い大多数の人にとって
非常に理解しやすいものであると思います。