記憶にであう―中国黄土高原 紅棗がみのる村から
大野 のり子
未来社
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久しぶりにとても良い本に出合えたと思いました。

著者は2005年から生きていくのにも決して楽とは言えない中国黄土高原の僻地に独りで住み
地元の方の信頼を得て、日中戦争時代の証言を集めている女性です。
燼滅作戦(三光作戦)の被害を受けた土地で、当時を知る老人たちから
それらの話を聞き、映像に収めていくという活動は本当に大変なことだと思います。
そうして集めた写真や証言をまとめてある本です。

といっても、この本の素晴らしいところはその証言に何ら著者の考えや意見を加えることなく
淡々と綴られていること。
日中戦争の話とは関係なく、著者自身がその地で見聞きしている
現在の村の様子や習慣などを描いていること。
厳しい環境の中で逞しく生きる人々の姿が描かれています。
そして何よりも素晴らしいのが「老天使」の笑顔がとても素敵なこと。

「老天使」は、おそらく証言をしてくれているお年寄りたちだと思います。
辛い記憶を引き出して話してもらうまでには
相当の信頼関係を築かなくてはならなかったと思われます。
そうして著者が写真に収めた老人たちの笑顔は本当に「老天使」とも言える
生きてきた証を誇るような皺が深く刻まれた純粋な笑顔でした。

元々は著者の方のブログを知ったことがきっかけでした。

黄土高原 紅棗がみのる村から

この本は本当に多くの方に知って欲しいと思います。