1月 292013
 

台湾の老師から譲っていただいた重庆乌龙沱茶(重慶烏龍沱茶)です。
なんと1970年代初頭のものとのことで
これと同じロットが台湾の専門書にも紹介されているという貴重なものです。
(というよりも老師のところから借りたらしい)

沱茶は実は重慶でも作られていました。
その品質はとても良く、雲南の下关(下関)よりも良いと言われていた時代もあったそうですが
時代の流れで下関の味が好まれるようになり、一度その姿を消してしまいました。
近年になって復活しましたが、現在は下関の雲南大葉種や福鼎大白茶種が使われています。

重慶「烏龍」沱茶となっているのは、これは烏龍種から作られているから。
今では姿を消してしまいましたが、昔は重慶でも烏龍在来種があったそうです。
その烏龍在来種から晒日緑茶を作り、現在もある沱茶と同様の作り方をしたのがこのお茶です。
その後、重慶沱茶は烏龍在来種が消失してしまったため
同じく在来種の小葉種を使用して作られるようになります。
割と探しやすいのはこの小葉種を使用した重慶沱茶で
80年代後半から90年代にかけてのものが大陸をはじめ各地で見つかります。
この小葉種を使用した重慶沱茶は別のものが手元にあるので
また機会を改めてここでご紹介したいと思います。

ということで、この重慶烏龍沱茶は本当に貴重な
おそらく烏龍沱茶では出会えるのが最後となるお茶だと思います。
長く香港で眠っていたものを返還前に台湾に持ち込んだそうで(香港乾倉および台湾乾倉)
とてもよい状態になっています。

40年も経過すると包紙が本当に脆くなっています。
ちょっと触っただけでもボロボロと崩れます。

熟成が進んで普洱刀などいらないほどです。
触ったところから崩れますし、指で引っ張ると葉がそのまま取れます。
しかし、年月を経た黒茶というのは本当に迫力があります。
凄みを感じる外観です。

崩れ落ちた部分と少し指で抜き取った茶葉です。
黒褐色の茶葉は十分に熟成が進んでいることが当然ながら分かります。
かび臭さなどは一切無く、どちらかというと無臭。
良い状態でずっと保存されてきたようです。カビの跡なども全くありません。
細かい艶のある茶葉で、時折茎も確認できます。


蓋碗使用

赤銅色の美しい水色です。透明度は高く、亮度も非常に高いです。
重慶沱茶特有の药香があります。
ただし、80年代の小葉種のものよりずっと柔らかく優しい感じ。
茶気がとても良く出ていて芳醇。
まるで棗から作られているような甘さと旨みがあります。
香りの広がり方はまるでお酒。
イメージとしては干し棗から作られたリキュールみたいな感じ。
これは美味しい。

老師のところで試飲させていただいた時もそうだったのですが
飲んでいると血行が良くなって体がポカポカしてきます。


5煎目

もちろん、というか当然ながら煎持ちは良く
熟成が進んだ黒茶同様にかなり長く楽しめます。
凄いお茶ですね。

煎を進めていくと烏龍茶らしさが出てきます。
茶気もしっかりありながら、烏龍茶の美味しさもあるような
ナッツ系の美味しい異様に煎が続く烏龍茶といったところ。


15煎目

更に進めて15煎も越えると茶気も消えて甘い旨みが続く美味しい烏龍茶に。
それでも底が出ません。流石40年も熟成しているだけあります。

かれこれず~っと飲んでいる訳ですが、うんざりするほど底が見えません。
冷えてもかなり美味しいので、ある程度楽しんだら水出しでも美味しそう。
美味しい烏龍茶の冷茶になりそうです。

面白いのは普洱老茶に見られるような陳香がないこと。
陳香が無いわけではないのですが(この場合、茶気に見られるような香りが陳香)
麹菌が違うせいなのか、烏龍種だからなのか、濃厚な陳香といったタイプの香りがありません。
小葉種の重慶沱茶は陳香を感じるので、おそらく烏龍種によるものかも。

人間の方がギブアップする感じで葉底を確認することにしました。(^^;
(30煎前後まで頑張りました)
黒褐色の見事に熟成が進んだ葉底です。
流石にここまで熟成が進むと葉の形に戻ることはありません。
#逆を言えば、葉の形に戻るのはまだ新しいお茶の証拠でもあります。
予想していたよりもずっと柔らかい茶葉で肉厚です。
驚いたのはまだ香りがしっかり続いていること。
甘い花の香りが出ています。

※参考資料
普洱藏茶 呉徳亮著 聯経出版事業股份有限公司

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