台湾の作り手さんAの凍頂烏龍茶です。
11年前の春茶(1992年)を作り手さん自ら熟成させた老茶になります。
この作り手さんは製茶技術もさることながら
焙煎技術が本当に凄くて、普通の凍頂烏龍茶ですら賞味期限が必要ないという程に
素晴らしい凍頂烏龍茶を作ります。
もちろん、昔ながらの龍眼の炭を使った焙煎です。
艶やかな深みのある黒褐色の茶葉です。
団揉がしっかりされていて1粒1粒がずっしりしています。
大きさは均一で砕けなどの確認はできません。
火の香りと華やかな花の香りが感じられます。
茶葉だけを見ている限りでは10年も経過している老茶とは思えない感じです。
本来は鑑定杯を使用するようなレベルのものではありませんが
7年老茶と比較したいこともあり、使用しています。勿体無い・・・(^^;
赤みを帯びたオレンジ色の綺麗な水色です。
透明度、亮度共に非常に高いです。
ほっこりした火の香と落ち着きのある上品な花の甘い香りが感じられます。
高さも持久性も驚くほどあります。
深い甘さもあり、7年老茶よりももっと複雑な旨みがしっかり感じられます。
年数の違いの1つは味の複雑さですね。
こちらのほうがより深みと奥行きがあり、茶質も良く出ています。
火の香りはしっかり感じますが、強火ではなく
このあたりは10年以上経過している老茶とは思えないバランス。
軽いわけではないのですが、重いわけでもなく
旨みを伸ばすための火入れといった感じで、
ここまでの焙煎技術はなかなか出会えないと思います。
正直、評判の高い茶師さんなどを回りましたが、
この作り手さんのお茶を超えるものには出会っていないです。
ちなみに鑑定杯淹れということを忘れて楽しめてしまっています。
濃いですが雑味や収斂味、苦味などは一切ありません。
黄金色の非常に綺麗な茶水で、透明度、亮度共に非常に高いです。
驚くほどに甘く綺麗な花の香りがでていて、
甘く複雑な分厚い旨みがあります。
それでいてこの深さと落ち着いた上質といった言葉がぴったりのバランスは
10年の老茶だからこそなのかも。
凄いですね。
煎持ちも非常に良く、旨みはもちろんですが、香りが綺麗にずっと続きます。
かなり凄いと思います。この老茶。
年数が経過している分、火入れの回数も増えるからか
7年よりも若干硬さはあります。
が、老茶とは思えない柔らかさと弾力があります。フカフカ。
やはりこちらも一芯二葉のまま残っているどころか、葉の形もそのままです。
艶もあり、大きさも均一、砕けもありません。
葉の戻りが悪いのは、年月が経過していることや火入れの回数によるものと思いますが
合計10分の抽出程度ではまだまだ底が出ないので
まだ開ききっていないということなのかも。(^^;
改めて、ただ年数を経過すれば良いというような老茶が多いのだなと
この老茶をいただいて考えてしまいました。
老茶にすることで出会う美味しさや感動というのを久しぶりに実感しました。
何だか感謝したくなるような老茶です。