メーカーさんIの岩茶、野生北斗です。
北斗一号の原産である北斗峰の品種改良前の在来種から作られています。
在来種の上、北斗峰のものとなると非常に貴重な岩茶です。
2011年の岩茶を後熟成させていたもので、ようやく飲み頃に。
このクラスの岩茶には良くあることですが
本当にパワフルすぎて作った年には強すぎる状態でした。
ただし、ちゃんと熟成させていけば柔らかく丸く変化していき
その後も10年位は軽く楽しめます。
逆に作ってすぐ楽しめる岩茶などは火入れも浅かったりするものが多いので
2年持つどころか半年以内に飲みきりなさいなんて言われることもしばしば。
元々の茶葉にパワーが無く、火入れも浅いけれど、醗酵も浅かったりするので
思ったよりも保存できないということもあります。
もちろん、作ってすぐ楽しめる上に長く楽しめる岩茶もありますので
全てがそうという訳ではありません。(^^
#10年クラスはまず無理だと思いますが。
葉の大きさは中葉種らしくほどほどの大きさです。
殆ど均一で砕けもなく非常に美しい茶葉です。
黒褐色から明るい灰褐色まで混ざった色調で
全体的に細やかな艶があります。美しいです。
鑑定杯は使用していません。
一瞬、北斗一号と比較しようかとも思いましたが、そんなレベルなお茶ではないので
正気を取り戻して茶壷で。(笑
金色の美しい水色です。
透明度、亮度共に高く、優しく品格のある花香が高く出ています。
遅れて南国のフルーツを連想させるような甘く爽やかな果香も。
北斗というとしっかり火入れされているものが多いのですが
この野生北斗は気持ち軽めの中火。
この品種でこの火入れ具合を出してくるのは
相当技術に自信がないとできないのですが、さすがというか・・・さすがです。(^^;
火入れが強い方が欠点や失敗
失敗とまではいかなくてもベストには持っていけなかったなという部分を隠しやすいですし
(逆に火入れが軽いとすぐバレてしまいます)
北斗系はその品種の特性としてもアラが出やすい傾向があります。
本当に流石の仕上がりです。
軽やかで上品、見事な滋味、甘味と微かな酸味、ミネラル感といったバランス。
そしてパワフル。(まだ・・・)
凄いですね。
煎を進めていくと繊細さと力強さが増してくるような
上質な岩茶ってここまで突き詰めていけるんだなと改めて思わされるような
別格という感覚を与えてくれるお茶です。
いや、本当に凄いです。(何だかそれしか言えません・・・;)
肉厚でふっくらと弾力のある葉底です。
後熟成の過程で何度か火入れを繰り返しているにも関わらず
この柔らかさは凄いと思います。
しっかりと醗酵も行われているのが分かります。
砕けも火入れによるもの以外は殆ど無く、葉の形そのままの状態で艶やか。
桜餅の葉として使えそうな位に美しく、まだまだ良い香りが漂っています。
凄いですね。(^^