北京のお茶屋さんCで購入した宮廷普洱散茶です。
熟茶です。
陳年とのことなので製造年を聞いたところ2006年とのことでした。
普洱茶は黒茶の代表として有名な雲南省で作られています。
雲南省といっても広く、元々は雲南の西双版納(シーサンパンナ)で収穫され
普洱府(現在は普洱県)で集積、出荷されたお茶の総称と言われています。
黒茶の多くはチベット、モンゴルや
辺境の少数民族で消費されているため辺茶とも呼ばれます。
厳しい条件に住む人たちが植物性の栄養素を摂取するために必要としていたため
昔から今も彼らにとっては無くてはならないお茶でもあります。
食べ物を欠かすことはできても1日たりともお茶を欠かすことはできないなんて内容の
言い伝え(?)が残されているほどです。
そのため、北方遊牧民の馬と南方の茶の交易が盛んになり
その交易路、茶馬古道が発達しました。
共産党が統治するようになった現在もこれらの少数民族には
1人当たり年間2kgの黒茶が無料とされているそうです。
普洱茶は黒茶の代表格ではありますが
普洱茶の全てが黒茶という訳ではありません。
黒茶は他のお茶と違い、殺青でカテキンの酸化を止めた後に
乳酸菌や麹菌によって微生物発酵させたお茶のことを言います。
本来、普洱茶は作られた時には緑茶でした。
前述の茶馬古道を通って辺境の少数民族まで運ぶには
短くて数ヶ月、長い時には1年以上はかかったとか。
その結果、緑茶であった普洱茶は微生物発酵を経て
黒茶としての普洱茶に変化します。
1970年代中頃に渥堆という方法が確立されます。
人工的に管理された多湿状態に積み上げておくことで微生物発酵を促す工程です。
現在では1年もかけて茶馬古道を使って運ぶといったことは行いませんし
製造後数年も保管しておくには生産効率が上がりません。
現在の普洱黒茶の主流はこの渥堆工程を経た熟茶と呼ばれるお茶になります。
それに対して昔ながらの製法(茶馬古道は通りませんが)で作られた普洱茶を生茶といい
生茶は製造された時点では緑茶(か、それに非常に近い)で
年数を経て結果的に渥堆工程を経た熟茶と同様の状態になったものが
黒茶と呼べるようになります。
散茶、緊圧茶については餅茶をエントリする際にまた・・・
茶色の細かい茶葉で所々に金色の芽の部分が確認できます。
宮廷普洱とのことなので芽の含有量が多いのだと思います。
良く宮廷普洱茶と呼ばれて販売されていることが多いですが
本来は宮廷への貢品、またはそのレベルをさしていたと思われます。
(といっても宮廷普洱茶が宮廷へ献上された事実はないんですけど;)
現在は芽だけ、あるいは芽を多く使用したレベルを宮廷級とするように定められています。
とはいえ、各メーカーの自主性に任されている部分が多く、目安程度という認識の方が良さそうです。
水色は濃い茶褐色です。
質の悪い普洱茶に良くある黴臭さは全くないのは勿論、土臭さなども全くありません。
ちゃんと陳香は確認できます。
熟茶の香りの系統として棗、樟脳、蓮、朝鮮人参、漢方薬・・・などが挙げられますが
これは棗系の香りです。
非常に日本人にとって癖がなく受け入れやすい香りだと思います。
甘みも非常に強く、雑味がないせいか濃く淹れても全く気にする事なく楽しめます。
非常に飲みやすく、上品で気に入っている普洱茶の1つです。
(ですので我が家には大量にストックがあります)
綺麗な褐色の水色です。
普通に蓋碗や茶壷で淹れると甘みが更に引き立って非常に美味しいです。
茶殻は黒に近いこげ茶色です。
1つ1つの茶葉が細かく、柔らかいです。