台湾の老師から譲っていただいた广南贡饼(廣南貢餅)です。
1992年の製造で香港乾倉と台湾乾倉で保管されています。
熟成がしっかり進んだ生茶になります。
廣南貢餅というのは広東の茶商が
雲南の当時国営だった茶廠へ発注して作られた普洱茶です。
これと良く似た名前の廣雲貢餅という普洱茶もあります。
同じものとして紹介されている場合もありますが別のものになります。
廣雲貢餅は雲南から運ばれた普洱毛茶(荒茶・普洱茶の原料)を使用して広東で製造したもので
毛茶の品質のばらつきが大きく、普洱茶のプロでもなかなか良質のものを探すのが難しいそうです。
92年ということもあり、良く熟成が進んでいて白露が見られます。
白露はカビではなく、茶質の良い上質な普洱茶に現れる麹菌です。
カビではないため無臭、普洱茶の良い香りがあります。
良い状態で保管されていたのが分かります。
大きめの茶葉で構成されています。
餅面と同じ茶葉で中も構成されていて、全体的に若干赤みを帯びた黒褐色で
落ち着いた艶を持っています。
充分に熟成が進んでいるのか、手で端から簡単にほぐすことができます。
しっかりと大きめの綺麗な茶葉です。
白っぽいのは丁度白露が出ている部分を崩したため。
茎もしっかり含まれていて、芽から来るものではない、深みのある甘さが期待できます。
銅色の美しい水色です。
透明度、亮度共に問題なく非常に高いです。
糯米香と微かな梅香があります。
非常に深みのある複雑な甘みがあり
これが熟成した生茶の本来の味なのかと驚かされます。
黴臭さなどは感じませんし、苦味も渋みもありません。
20年以上経過した生茶って凄いですね。絶品。
この味の深みはどんなに良くできた熟茶でも出せないでしょうね。
2煎目になるとまるで紅茶のような水色に。
旨みもぐっと深く複雑になって、滇紅(雲南紅茶)を思わせる甘さが出てきます。
(個人的には雲南大葉種甘いと呼んでいたりします;)
更に煎を進めると甘さがどんどん際立ってきて
まるで麦芽糖か水あめを溶かしたお湯を飲んでいるかのように甘くなります。
旨みも深く、複雑さが増してきて、このお茶の凄さが分かってきます。凄い。
15煎を過ぎた頃から1煎目のような水色に戻ってきました。
本当に煎が長くて甘いです。
ミネラル感を持った麦芽糖のような優しい甘さがずっと続いています。
20煎までは数えていましたが、飲むほうもぐったりしてきて終了。
時間があれば2日に渡って楽しむ方が良いと思います。
淹れ方にもよるとは思いますが、このあたりの老餅は本当に煎が続きます。
生茶でもこれだけ熟成すると茶葉が変質しています。
元の柔らかい生葉の状態に戻ることはありませんが
縒れた状態のまま、葉の形はしっかり保っています。
熟成が進んで変質しているとはいえ、柔らかい葉底です。
このまま熟成を進めていくともっと硬くなっていくと思いますが
(あと20年位?)
白毫が確認できるような、肉厚で弾力のある茶葉です。
茎もまるで山菜の煮物のような柔らかさを持っています。
中でも何とか開けそうな感じの茶葉を無理やり開いてみました。
変質して硬いものの、葉脈は殆ど突出しておらず非常に綺麗です。
最近のものには無いような肉厚さがあり、品質の高さが伺えます。
1つだけ残念なのは茶名を書いたシールを包紙に直接貼られてしまっていることでしょうか?
老師・・・(^^;
包紙に大して価値はないのは分かりますが(鑑定時には使用しますけど)
貼らないでいただきたかったです。(笑
※参考資料
普洱藏茶 呉徳亮著 聯経出版事業股份有限公司
深邃的七子世界 陳智同著 五行圖書出版有限公司