武夷山市茶叶科学研究所(武夷山市茶葉科学研究所)の小红袍(小紅袍)です。
2013年の新茶で、2013年5月23日に仕上げが完了したものです。
武夷山市茶叶科学研究所というのは元々人民公社に属する機関で1959年に設立されました。
武夷山市茶业局(武夷山市茶業局)に属する機関で、今も古い建物が残されています。
(改修?していたようで、そのままの状態で残すかどうかは不明です。単なる屋根の葺き替えかもですが。)
このあたりは旅行カテゴリの方でご紹介したいと思います。
武夷山市茶叶科学研究所が作った茶葉を販売しているのは
武夷星茶业有限公司という会社で、この茶葉もそこから購入したものです。
武夷山に限らず中国の大都市には大概支店がある大企業で(ある意味国営企業ですし)
お値段も凄いことになっています。ブランドです。
中にはお手軽な価格帯のものもありますが、総じてお高め。
あまり良い評判は聞きませんが、ブランドですからと割り切りましょう。(笑)
実際のところ、質に対しては高いなと思いますが、酷い品質でもないよねというのが正直な感想です。
(中国の茶業関係のみなさまからは散々な話を聞くのですが、価格以外はそこまでじゃないよねという感じです)
で、この岩茶はその武夷山市茶叶科学研究所というか武夷星が所有している
御茶园(御茶園)で収穫された茶葉を使って作られた岩茶です。
この御茶园というのは武夷山の皇帝専用の茶園で、宋、元、明代の皇家焙茶局が管理していた畑です。
かつてはここで龙团凤饼(龍団凰餅)も作られていたそうです。
現在も200種類以上の茶樹が植えられているとか。
小红袍(小紅袍)というのは岩茶の1品種の名前です。
有名な大红袍と名前が似ていますが、全く別の品種とされています。
大红袍のように優秀な品種だったので、それにちなんで小紅袍と名づけられたと言われていますが
実際のところははっきり分かっていないようです。
ちなみに大红袍を挿し木して作った2代目大红袍がそうだという場合や
老枞水仙(老叢水仙)、肉桂、矮脚乌龙(矮脚烏龍)などをブレンドしたものだとかも言われます。
が、実際には小紅袍という品種の茶樹も確定して育てられていますし(しかも決して少なくない)
大红袍とはまったく別の品種ということも明らかになっていますので
小红袍というひとつの品種、ただし謂れは良く分からないというところが正解かと思います。
まぁ、実際にはこの品種ということを意識した訳ではなく
小红袍という名前を使っていたケースが複数あったのではないかと思います。
ある意味、名乗ったもの勝ちなので。
○代目大红袍に同じ名前をつけていた頃や
ブレンドしたものに大红袍と似た名前を付けて売り出していた頃もあったのでしょうね。きっと。
余談ですが、別名もあります。
五叶藤(五葉藤)、五月藤、地星といった名前です。
私としては小红袍より五月藤っていいじゃないと思うのですが・・・(笑
天心岩九龙窠という大红袍母樹の周囲で作られていると言われますが
実際は色々な場所でも育っています。(^^;
標高の低い正岩地域(昔は半岩地域とされていた場所)でも外山地域でも。
むっとする程の甘い香りのある茶葉です。
黒褐色を基調に褐色、緑がかった褐色が混じった茶葉で大きさは不均一。
粉のように細かいものもあれば、葉の原型を連想させるような大きいものまで様々です。
新茶の割りに火入れはしっかりしているようです。
(小紅袍は結構火入れがしっかりしたものが多いような感じがあります)
茎取りが甘いのか普通だったら毛茶の時点で取り除かれているような茎もちらほら。
量が少ないので鑑定杯は使用していません。
褐色の透明な水色です。
乾燥茶葉にあったむせ返るような甘い花果香は見られません。
どこに行ってしまったのか?という位に火の香りだけになってしまいました・・・
微かに花香はありますが、探さないと気が付かないほど。(^^;
甘さの強い味わいですが、奥行きに欠ける感じです。
微かに苦味、蜜蝋っぽさを感じますが、一体感に乏しく
味わいの厚みにまでなっていないような感じです。
新茶なのでまだ落ち着いていないというよりは
そういったポテンシャルの茶葉なのかなと思います。
ま、御茶园のお茶って実際はお土産用みたいなものなのかも・・・
火入れの感じもあまり好きな感じじゃないですね。
正直、技術はそんなに高くないのかなと。(失礼;
煎を進めると酸味も感じられるようになりますが
一体感には乏しいまま。
そして煎持ちも良いとは言えません。
3煎目からがくっと落ちてしまいます。残念。
予想通りというより、それ以上に砕けた葉底でした。
砕けたというか千切れすぎ。(^^;
ある程度火入れの強い岩茶は葉の原型をとどめていないものですが
そこまで強くもないし、ここまで細かくも無いんですよね。普通。
たまに原型をとどめた茶葉がありますが、かなりボロボロ。
ちょっと硬く、弾力も見られません。
と散々に書いていますが、悪い茶葉ではないです。
淹れ方を工夫すれば、それなりに美味しさを引き出せますし
分かりやすい岩茶であるという面もあります。
正岩茶のミネラル感がとか岩韻がとか求めなければ
十分に美味しく楽しめるお茶であると思います。
ある意味、お土産的な目的には十分なお茶だと思います。
先日のAfter & Tasteさんで行ったお茶会のおまけでお淹れした岩茶です。
このエントリというか評茶をした時が初めて淹れてみた時の感想で
この時に特性というか癖をつかむことができたので
お茶会の際はそこそこ美味しさを引き出せた淹れ方ができたかなと思っているのですが・・・(^^;