茶農家さんHの怀直老观音(懷直老観音)です。
2008年のものとのことです。
怀直(懷直)というのは地名で、安渓県感德鎮にある村名です。
毎年、火入れをしながらメンテナンスして育ててきたものだそうです。
(自家用のものを譲っていただきました)
褐色の茶葉です。
若干砕けがありますが、これは火入れを繰返してきたことによるものと思われます。
重量感、大きさは普通といった感じ。
茎が結構入っているのに気がつきます。
元から老茶にしようと作ったものという可能性が高くなります。
鉄観音にはそもそも老茶にするという習慣はありませんでした。
近年、台湾から「老茶」というものの存在が一般に知られてくるようになり
安渓でも老茶ブームが起きつつあります。
が、もともとその習慣がなかったこともあり、古い鉄観音は殆どありません。
ごく一部の昔から「老茶」を目指して行動をしていた茶業さんを除いて
古い鉄観音は存在しないので(出荷してしまってますし)
茶業さんや作り手さんの倉庫に忘れられていたものが無い限り
売れ残った茶葉を再焙煎させて老茶と言っているのが殆どになっています。
近年の醗酵の浅い清香型は老茶になれるポテンシャルが無いのはもちろんですが
老茶となることを意識しないで作ったものと、そうでないものとは
全く味わいもその後の熟成も変わります。
鉄観音は基本的に茎がついたまま出荷されます。
この茎はブランド化しているようなメーカーさんでは工場で
中小規模の茶業さんは店頭などで、どちらも人の手によって茎を取り除きます。
ちなみに茎は工場の場合は茎茶として販売しますが
店頭で行う場合はお得意さんへ茶枕(枕の中身に入れます)の材料として
プレゼントすることも多いです。
最近はこの茶枕専門店もできてたりしますので
茶枕専用に出荷するパターンも今後は増えてきそうです。
(ちなみに茶枕、凄く気持ち良いです。)
こうして販売するときに茎を取り除くのが鉄観音ですが
老茶にする場合は基本的に茎を取り除きません。
その後も茎はそのままで熟成、販売されます。
となると茎が取り除かれている鉄観音は
一度普通の鉄観音として販売しようとしたという意図があったと「も」考えられるわけです。
とはいえ、老茶にするのにわざと枝レベルの茎を残す人もいれば
やっぱり除去してから熟成させるということをする人もいるので絶対ではないです。
まぁ可能性が高くなるけど飲んでみるまで分からないといったところですが。(^^;
オレンジ色の透明な水色です。亮度も良く出ています。
微かな酸味と柔らかい甘味、滋味がじっくりでているような印象。
やわらかい香ばしさに通じる火の香りと綺麗な甘い花香を感じます。
2煎目になると香りに甘さが増してキャラメルのようなニュアンスも出てきます。
味わいも深みが出てくるようです。
美味しい。
金色の水色です。透明度が非常に高く、亮度も充分に高いです。
甘い花香が落ち着いているなかにも高く出ています。心地よい。
じっくりと甘く、味わいが分厚いのが印象的。
微かな酸味が奥行きを出しています。美味しい。
煎持ちも良く、うんざりする位に楽しめます。
いいですね。
火入れがしっかりしているので葉の形そのままには戻りません。
とはいえ、それなりに緩んでいて広げて見ると綺麗に製茶されているのが分かります。
しっかり肉厚ですが弾力があります。
葉の大きさも比較的小さめで揃っています。