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This article was written on 03 2月 2014, and is filled under delicious teas, 中華人民共和国, 陝西省, 黒茶 Dark Tea.

泾渭茯茶 袋泡茯茶

泾渭茯茶 袋泡茯茶

咸阳泾渭茯茶有限公司の泾渭茯茶(涇渭茯茶)です。
こちらは108G袋泡茯茶という商品名で等級は四级
2012年5月8日出荷となっています。
3年以上熟成させた茶葉で、成形なども全て手作業で行っています。

泾渭茯茶 袋泡茯茶

泾渭茯茶について改めて。

茯砖茶(茯磚茶)は1368年(明代の洪武元年)ごろに陕西省咸阳(咸陽)の人によって発明されました。
生産地が陕西省泾阳(涇陽)であったため、当初は泾阳砖(涇陽磚)と呼ばれていました。
また、その売買には政府の許可証が必要であったため、「官茶」「府茶」とも呼ばれています。
シルクロードを使い、西アジア、東ヨーロッパ、ロシアなどへ運ばれていたそうです。
1958年以降、その生産地が湖南省へ移り、陕西省での磚茶作りが途絶えてしまいました。

現在、黒茶の生産が最も多いのは湖南省です。
湖南省で作られている茯茶のオリジナルは咸陽にあったということで
2011年にこの涇渭茯茶が復活します。
復活には3年以上の研究、試行錯誤を繰返したと聞いています。

泾渭茯茶 袋泡茯茶

涇渭茯茶の製造工程は独特です。
まずはお茶を入れる容器から作成します。
ガーゼに糊で紙(といっても原料の木材は指定された種類のもの)を両面に貼り付け
茯茶用の型に貼り付けて数日乾燥させておきます。

毛茶(荒茶)を大きな包丁で切り刻みます。
正しい大きさになるまで何度も篩いにかけて大きさに整えます。
細かくなった茶葉は日の当たらない醗酵用の建物に積み上げ水を加えて醗酵させます。
(熟茶と同じですね)
5日ほど醗酵を行ったら広げて乾燥させます。

醗酵した茶葉を茯茶用の型分(3KGの茯茶には3.1KGの茶葉)を取り鉄鍋に入れます。
熱した鉄鍋の中で茶葉をドーナッツ状に整え
中心に茶葉の茎を煮込んだ汁を入れ攪拌します。

茶葉の粗熱を取り、茯茶用の型に詰め込みます。
この詰め込み作業が大変で3人がかりでの作業になります。
茶葉を型に入れる人、上から圧力をかける重しを持っている人
茶葉を均一にする人という具合です。
つめ終わったら型に貼り付けてあった容器を封して、鉄串で空気穴をあけます。
そこに通気性が良くなるように茅の茎を差して醗酵部屋へ移動します。

醗酵部屋では醗酵具合にあわせて保管場所を変えたり
シュロ布をかけたり、外したりと調整を行っています。
20日ほど経過すると金花がでてくるそうです。

泾渭茯茶 袋泡茯茶

で、この金花。冠突散囊菌(Eurotium Cristatum)という麹菌です。
湖南省のものとは少し違うようで、胞子が大きいのが特徴です。
そのためか湖南省のものは日本へ持ち帰ると大抵は金花が消えてしまうのですが
このお茶は消えません。
メーカーの茶葉研究所の方にも質問させていただいたのですが
おそらく金花が大きいからじゃないかとのお返事でした。

で、この手のお茶につきものの効能ですが、ずらり揃ってます。
・消化促進、整腸作用
・高脂血症や肥満解消(脂肪分解)
・免疫向上、抗癌作用
・血糖値を下げ、抗酸化作用、
・含有フェノールによる毛細血管保護

ううむ、お茶で抗癌は珍しいですね。(^^;
一応、研究データもいただいてきました。
清華大学と共同研究されているようで、ちゃんとした数値が並んでいました。
肺癌で研究しているみたいですが、ちゃんと資料では効果が挙げられていました。
美味しいお茶なので健康作用で売らなくてもと思うのですが
この手の黒茶はやっぱり健康作用が売りなんですかね・・・(笑
#日本でお茶を販売する際に効用をうたうと薬事法違反になります。(^^;

さて、長くなりましたが、このお茶。
復刻直後にも入手して飲んでいますが、改めて。

泾渭茯茶 袋泡茯茶

固形茶を崩したものだと思っていたのですが
手でこの形に成形したものだそうです。
確かに丁度一握りといった感じの大きさです。
黒褐色の茶葉に金色の金花が見事に散っています。
金花の無い部分の茶葉は細やかな艶があります。

鑑定杯は使用していません。

泾渭茯茶 袋泡茯茶
蓋碗使用

黄金色の美しい水色です。
透明度と亮度が非常に高く出ています。
香りは柑橘系の果香のある棗系、微かに薬香があります。
全体的に香りは控えめ。
味わいは甘く柔らかいミネラル感。複雑で美味しいです。
癖がなく、以前よりも美味しくなっているような。
(淹れ方が上手くなってる?(笑))
非常に飲みやすいという印象があります。

煎持ちも非常に良く、うんざりするほど続きます。
やっぱりいいお茶ですね。

泾渭茯茶 袋泡茯茶

褐色の葉底です。
製法通りほぼ均一に切られているのが分かります。
柔らかく弾力があります。
良く見ると茎が殆ど入っていません。
これは製法上使う茶汁(茎を煮るとあります)に使うために
取り除いているんですね。

この泾渭茯茶、沢山の商品があって
お値打ちなものから、うっと思う位に高額なものまで様々。
そんな中、この商品が一番CPが良いように思います。
しっかりちゃんと美味しくてお手頃。
もちろん、もっと美味しいと思う商品もあるのですが
価格差ほどではないように思うんですよね。

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