茶農家さんCの漳平水仙紅茶です。
2014年の春摘みの紅茶です。
传统 漳平水仙 2014の方に今年は価格が高騰したことに触れましたが
紅茶は嬉しいことに高騰まではいかず、緩やかな価格上昇で済みました。
おそらく、紅茶の漳平水仙はマイナーな漳平水仙の中でも、もっとマイナーなので
そこまで人気も出ていないということが関係していると思います。
実際、かなり美味しい紅茶なのですが
漳平水仙の存在自体を知らない中国人が圧倒的多数なので
(茶商さんでも知らない人が多いです)
紅茶の漳平水仙なんて天然記念物どころか存在していないのに等しいレベルなのでしょう。(^^;
とはいえ、紅茶の製茶技術はなかなかどうして上手で
元々、紅茶を作っていた地域でもなく、
かといって紅茶に力を入れて町おこしを行ったという形跡も無いので
(中国では官民一体となって行うことが良くあります。信陽紅が良い例ですね。)
ちょっと不思議だったので聞いてみたことがあります。
答えは茶農家さんの息子さんが武夷山桐木で働いていたからでした。
なので、桐木の紅茶の技術が入っているそうです。
ちなみに息子さんの奥様は武夷山出身の美人で、茶芸では結構有名な方だったりします。
何度も優勝したり、台湾に招聘されて茶芸を披露したりしているとか。
基本的に大陸の茶芸はお世辞にも良いとは言えないと思うのですが
こういったレベルの方々の所作は本当に素晴らしいレベルだと思います。
この奥様とは仲良くさせていただいているのですが
何度か見せていただいた茶芸は圧巻の一言でした。本当に見事。
別の友人に北京オリンピックで国賓に茶芸を披露する役を担った方もいますが
この方の茶芸も綺麗なんですよね。
やはり、何かを極めた人というのは違うんだなと思います。(^^
黒褐色の艶やかな茶葉です。
青茶に比べて緊圧は緩めのようです。
所々に金毫が確認できます。
茶葉の形を崩さずに綺麗に緊圧されていて餅面がとても綺麗です。
この形状ですので鑑定杯は使用していません。
褐色の透明度の高い水色です。
亮度も充分で、ガーネットのような美しさがあります。
香りは控えめな花果香。でもしっかりと高く出ていますが
一般的な中国紅茶のような前面に出てくるような香りのタイプではありません。
味わいは柔らかい滋味深い甘味、ミネラル感、
英徳紅茶にも通じるような独特の余韻があります。
2煎目からは独特の清涼感を持った滋味がぐっと深く出てきます。
微かにマスカテルのニュアンスを持った果香もあり
なかなかどうして美味しいです。
この味わいの深さは闽北水仙種ならではですね。
しっかり、じっくり美味しく、派手さはないけれどしみじみ美味しいと思わせる紅茶です。
しっかり肉厚の葉底です。
弾力もあり、綺麗に製茶されているなぁと感心させられます。
葉の砕けも少なく、醗酵度も充分。
芯が多く、予想よりも嫩度が高いことが分かります。
闽北水仙種というのは実は紅茶に向いているんじゃないだろうかと思わせる
味わい深いお茶に仕上がっています。