杭州の茶業さんAの明前 云栖龙井(雲栖龍井)です。
2015年3月25日の摘み取りです。
親友の茶業さんから紹介していただき、先日お伺いしてきたのですが
その際に面白い龍井として無農薬・無肥料のものがあったので
試させていただいたところ、これがなかなか美味。
試験的に数年前から作っているとのことで
生産量は全く商業ベースに乗るような状態ではないそうですが
お友達ということで(中国では親友の親友は家族同然になります)少量譲っていただきました。
無農薬の龍井というのは現在もちょっと探すと少数派ながらも見つかりますが
無肥料となると生産量が格段に落ちるので殆ど見つかりません。
ましてやネームバリューの強い龍井ならば行う必要もないのでなおさら。
しかも名産地である雲栖(うんせい)とあれば本当に珍しいと思います。
また、この龍井はここ近年行われることが殆ど無くなってしまった
石灰による乾燥工程も行っています。
本来、龍井茶は製茶が終了した後は石灰(乾燥剤)で周囲を覆って
2週間以上じっくりと寝かせることを行いますが
今は生産量も多いですから、このスペースの確保などの問題があったり
早目早目に流通を望む消費者への対応といったことからも殆ど行われていません。
そのため、ここ最近の龍井をはじめとした緑茶は胃への刺激が強いものになりがちですが
本来、緑茶の殆どは製茶後、一定期間を経て落ち着かせてから味わいものでした。
この「一定期間」というのは実に大切なもので、
この間に茶葉に残っている水分量が更に減っていくこと、
残った水分量が均一化していくこと
という味わいや香りに大きく影響するものですが
初物を人よりも早く味わいたいという市場心理のためか、最近は軽視されてしまっていて
本来の美味しさがちゃんと出ていないものが多いように思っています。
黄緑、緑黄、深緑のグラデーションが美しい色合いの茶葉です。
龍井らしく扁形で、機械製茶で作られている形状です。
気持ち小さ目の一般的な明前の大きさで概ね均一。
砕けなどは少な目のようです。
心地よい板栗香が感じられます。
貴重なものなので鑑定杯は使用しません。
金色の美しい水色です。透明度、亮度共に素晴らしい高さです。
湯を注いだ時からむせ返るような板栗香。
茶水からもしっかりと高く感じられます。持久力も十分。
粘性を感じる茶水は甘く、茶樹の力を感じるようなミネラル感が旨味になって
複雑な、それでいて絶妙なバランスでまとまっています。
現地で評茶したときよりも、さらに良くなってきている感じです。
龍井というと実は個人的に敬遠しているお茶だったりします。
昔は飽きるほど追いかけていた時期もあったのですが、
いかんせん高額すぎるのと原料茶葉の産地問題とかが多すぎて・・・
しかし、久しぶりにこういった龍井と向き合うと銘茶と呼ばれる所以が納得できます。
本当に美味しい。板栗香好きの私好みにばっちりはまります。(^^
煎を進めても味わいは変わらず。むしろ滋味が深くなっていくような感覚があります。
煎持ちも非常に良く、身体に染み込むような味わいがずっと続きます。いいですね。
美しい緑黄の葉底です。
驚くほどに柔らかく、弾力もしっかりあります。
綺麗に一芯二葉で摘み取られていて、大きさもほぼ均一。嫩度も高いです。
若干砕けはありますが、まず気にならないレベルです。
久しぶりの龍井でしたが、やっぱり美味しいですね。(^^
先日のお茶会でもご紹介させていただきましたが、好評だったようです。