5月 102013
 

メーカーさんEの特级 蒙顶黄芽(特級 蒙頂黄芽)です。

黄茶というのは産地に行くとそれなりに見かけることはできるのですが
中国の、それ以外の地域では本当に見つけにくいお茶です。
やっぱり中国茶の天然記念物の異名を取るだけあるなぁと思う位の少なさです。
産地以外では日本が一番入手しやすいのですが(笑
これが珍しい黄茶なのね、という感じで
何か飲んでも美味しくないものが非常に多いです。(すみません)
昔ながらの味わいを求めたら、そんな感じなんだろうと思うのですが
やっぱり黄茶も進化していく訳で
美味しい作り手さんの黄茶は緑茶なんて!と思う位に美味しいです。

簡単に言ってしまえば黄茶の特徴は悶黄という工程があること。ですが
黄茶の旨みや美味しさは悶黄だけに拠るものではないと思っています。
緑茶を蒸れさせたみたいなイメージがありますが、結構作り方が違うんですね。

ということで、簡単にご紹介すると
緑茶は摘み取った鮮葉を攤放(微発酵)してから殺青(発酵を止める)を行いますが
黄茶はこの攤放は行いません。
ここで香りの出方がまず緑茶とは違ってきます。
また、殺青の際、緑茶などは高温に熱した鍋などで行いますが、黄茶の場合は低い温度から始めます。
少しずつ温度を上げていき、最後は少しずつ温度を下げていくという独特の殺青方法です。
そのため、ゆっくりと加熱していく過程で独特の酸化発酵が起こります。
この殺青方法の違いも結構重要だったりします。

黄茶の特徴である悶黄の工程ですが、改めて説明をしていくと
これは殺青後、まだ茶葉が熱を帯びている状態で紙に包む、木箱に入れるなどをして
茶葉自体の持つ熱と水分で数時間から数十時間蒸らすというものです。
これにより高湿度高温の環境下に茶葉がおかれることととなり
茶葉の持つポリフェノールを中心とする成分が非酵素的に酸化します。
ちなみに蒸らし方やその回数は作られる黄茶の種類によって結構違います。
蒙顶黄芽の場合は和紙で少量ずつ包んでいますが
君山銀針は牛皮紙で包んだ上に木箱に入れて密封して行います。

こうした独特の工程を経て黄茶が作られていくわけですが
悶黄だけが黄茶の特徴じゃないんだなぁと改めて思います。
結構緑茶に近いものが増えている黄茶ですが、旨みの出方が違うのは
こうした違いから生まれるんですね。

蒙頂山主峰の標高1200m付近の茶葉を使用しています。
流通している「蒙頂@@」というお茶の殆どは蒙頂山付近で栽培されているもので
ここも蒙頂山?という場所のものが殆どです。
実際には高速道路の周辺なども見渡す限り茶畑になっていたりして
一体どこまでを蒙頂山とする気なんだと問い詰めたくなるような状態だったりします。(笑

実はこれ、誤魔化している訳ではなくて言葉の違いなんです。
山というと日本の場合は1つの峰を指しますが
中国の場合は日本で言う山脈、
日本で言う山は中国語で峰
日本で言う山脈は中国では山系といった感じです。
しかも標高が相当高くないと(何千メートル級とか)山に名前を付けてくれません。(笑

早い時期から摘み取れる「蒙頂茶」は蒙頂山(山系)の中でも平地に近い場所のものですが
(それか龍井茶として杭州に送られます・・・龍井茶の70%近くは杭州以外の地で作られているとか)
蒙頂山本体というか、山に入ると結構気温が低くて寒いという状態で
平地とは結構時期がずれたりします。
例年は4月近くならないと芽が出ていないのですが
今年は結構早かったようで、3月20日の摘み取りです。

艶のある黄褐色の茶葉です。
白毫がしっかり確認できます。
芽のみで構成されていて大きさも均一、綺麗です。
香ばしさと優しい甘い花の香りが出ています。


鑑定杯使用

柔らかい黄色の水色です。
透明度もしっかり、亮度も高く出ています。白毫が出ています。
香ばしい火の香りが弱く出ていて、優しい花の甘い香りがあります。
ほっこり系の香り。
微かな渋みと苦味、独特の強い旨みがあります。
甘さがしっかりしていて、鑑定杯淹れでもゴクゴクいける美味しさ。
バランスが良く、味が深くて分厚いです。


蓋碗使用

薄い金色の水色で透明度、亮度共に非常に高いです。
白毫は茶漉しを使用したので茶水に出ていません。
優しい花の香りと見事な栗の香りがあります。
栗といっても中国茶の評茶でいう板栗香ではなく、日本人が連想する栗の香り。
香ばしさと甘さが合わさって、美味しそうな栗の香りがします。
味わいはしっかりと甘く、複雑な旨みがしっかりあります。
回甘も強く、余韻も充分。
良く黄茶にありがちな癖もなく、かといって緑茶という感じでもなく
さすがあの社長の作るお茶だなと感動です。

このメーカーさん、メーカーとしていますが、非常に小さな茶業さんで
とても研究熱心でまじめな社長がやっています。
無口で強面なのですが(笑)、私が味わったことのある四川のお茶で
この社長が作ったお茶を越えたものはないかなという方です。
農閑期には四川を中心に各地の大学で講師もされているとか。

とても綺麗な黄緑色の葉底です。
見事に大きさの揃った芯のみの葉底で、砕けもありません。
柔らかく弾力があり、あまりに美味しそうなので食べてみましたが
美味しいです。むしゃむしゃいけます。(笑
むしろ緑茶より美味しい。

中国茶の評茶では外観審評の割合が高くて、
何で味とかじゃないの?と思った時期もあったりしたのですが
実は茶葉の外観が悪ければ、香りや味にも影響するんですよね。
(もちろん、お茶の種類にもよります。顕著に出るのは発酵度の低いお茶の種類ですが。)
砕けがあればそれだけ雑味が出たりしますし、製茶技術が低いということになったりとか。
そんなことを改めて思い出させてくれる素晴らしい茶葉でした。

※このブログのお茶の感想については こちら

 Posted by at 12:03 AM

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