北京の岩茶専門店Aの2009年白鸡冠(白鶏冠)です。
先日、北京のお店へ立ち寄った際にどうにも胃痛が酷くて(胃炎持ち)
流石に今日はしっかりした岩茶は飲めないなぁということで白鶏冠をリクエスト。
白鶏冠は岩茶の中でも火入れの仕方が違います。
ほとんどの岩茶の火入れから比べたら、「火入れをしていない」といって良いほど。
一般的な岩茶は火入れがしっかりしているので
慣れている人じゃないと正直分からないと思います。
流通している岩茶の決して少なくない比率で肉桂を大紅袍として販売といったケースも
実際にはあります。まぁ偽装される先は大体、大紅袍ですけど。売れるので。(^^;
そんな中、この白鶏冠だけは偽装できません。
白鶏冠独自の火入れ方法は誤魔化せないんです。
そして、四大名欉の1つでもあるので大概はとてもいいお値段がします。
白鶏冠は古来から薬として珍重されてきた歴史があります。
特に胃にいいということで、この日は白鶏冠をリクエストしたのですが
今日は胃が痛いんだ・・・と言ったのを聞いた老板が、
「老茶は胃の薬になるから2009年の白鶏冠にしよう」
と淹れてくれたのがこのお茶です。
岩茶に限らず、火入れがしっかりした老茶は鉄観音でも何でも大概薬になると言われます。
科学的根拠は全く知りませんが、実際この日はその後に回った友人のお店でも同様の会話が繰返され(笑)
大変な老茶責めにあったのですが、おかげで回復しました。効くのかも。
もう1つ、白鶏冠は時間が経過すればするほど価値があがります。
理由は美味しくなるから。
保管方法にもよりますが、一時期は一旦酸化が起きて味わいがちょっと低下しますが
それを越えると完璧に美味しくなります。
ただし、白鶏冠に限らず、長時間保管が可能な品質にあることが前提です。
質があまり良くない茶葉は時間の経過と共にへたってしまうだけです。
そんな感じで飲ませてもらった白鶏冠がとても美味しく、
うっというお値段でしたが、自分用に購入してきました。(^^
白鶏冠って独特の青臭さがあるものが多く、美味しいと私自身が思えるお茶って少ないんですが
この白鶏冠は初めてと思うほどに美味しかったです。
ということで帰国後、初めて日本のお水で淹れてみました。
明るい褐色の茶葉です。
比較的小さめの茶葉で均一、砕けなどは殆ど確認できません。
心地よい香ばしさを感じる香りがあります。
茶葉の表面に白毫がびっしり付いていて光っているかのようです。
黄金色の透明な水色です。亮度が非常に高いのが印象的。
香りはほうじ茶のような香ばしい甘い香りから始まり
次第に品のある花香が上がってきます。
ここまではさほど香りにインパクトは無かったのですが
飲み終えた杯から驚くくらいに濃厚な甘い花香が立ち上ってきます。
味わいはとにかく余韻が凄いです。
最初から粘性を感じる茶水で、ミネラル感と複雑に合わさった果物のような甘味が
しっかりと舌にまとわり付くように感じられます。
優しい柔らかい酸味も合わさって本当に複雑。何と表現してよいか分からないほどです。
岩骨花香を表すお茶を選べと言われたら、この白鸡冠を選びますね・・・凄い。
煎を重ねてもへたるどころか妖艶な印象へも変化していきます。
味わいがフレッシュな果実っぽさを持ったと思えば
更に進めていくと麝香っぽさをイメージするような香りになってきたり
非常に煎持ちも良くて10煎以上楽しめました。
柔らかくて美しい葉底です。
クタクタという訳ではありませんが、弾力が強くあります。
葉の大きさはかなり小さめ、均一です。
なにより砕けなども殆ど無く、葉の形そのものに戻っている感じ。
老茶にすべく、かなり気合を入れて製茶したお茶なんですね。
日本の水で楽しんでも大満足でした。
正直、白鶏冠は独特の味わいがあって、何でこんなに高いのに
こんな程度の味わいなのかと思っていた部分がありました。
が、この白鶏冠で納得。これは本当に美味しいです。