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This article was written on 12 12月 2013, and is filled under delicious teas, 中華人民共和国, 福建省, 青茶 Oolong Tea.

西坪 正枞老观音

西坪 正枞老观音

福建の茶業さんAの正枞老观音(正欉老観音)です。
古くからの産地である福建省安渓の西坪のもので、89年のものとのこと。

この茶業さん、非常に先見の明があったというか先を読んでいたというか
なかなかどうして凄いコレクション(というか品揃え)を持っています。
鉄観音というお茶はそもそも、ビンテージにして楽しむという意識が近年まで無かったお茶で
作ったら即出荷しているということが殆どでした。
何年も寝かせてメンテナンスして育てるという台湾の老茶のような考え方が無かったお茶です。
台湾老茶の存在を知っていたこの茶業さんは
いつか鉄観音にも老茶が売れる日が来ると信じて、毎年一定数を確保していたそうです。

また、最近の青々とした軽醗酵の清香型。今や殆どの鉄観音が清香型です。
なぜかこの茶業さんは断固として清香型を作らず
昔ながらのしっかりと醗酵させた正欉鉄観音のみしか作らないという
何とも凄い信念の持ち主でした。
なんと老板(社長)は女性で、とても気持ちの良い方でかなり大好きな老板です。(^^

たくさんの老鉄観音を試飲させていただいたのですが
いや、もう本当に美味しい。
が、ビンテージの古いものはやっぱり高いんですね。
お茶に関する金銭感覚がオカシイ私でもひるむお値段。
散々悩んで決めたのがこの89年の老観音でした。
(結局、高くて買えなかった老観音は10gとかプレゼントしてくれました。謝謝!)

団揉は緩め、大陸の鉄観音の形です。
黒褐色と褐色が混じった色合いの茶葉で、大きさは均一。
比較的小さめの葉で構成されています。
若干砕けがありますが、これは数度に渡って行われた火入れによるものと思われます。
あまり気にならないかなという感じ。
全体的に艶があって、綺麗な外観です。

鑑定杯は使用していません。

西坪 正枞老观音
茶壷使用

褐色の琥珀色のような美しい水色です。
透明度、亮度共に素晴らしく、宝石のような水色です。
柔らかい、ほっこりするような火の香りと果香があります。
遅れて見事な花香も。
しっとりと甘く、蜜蝋っぽさがしっかり出ていて実に深い味わい。
奥行きがあって、余韻も強く、回甘がかなり長く続きます。
大陸の鉄観音には普通にあるザラっとした感覚が無いのも面白いです。
以前、台湾の老師に譲っていただいた西坪の鉄観音を台湾で火入れしたものもそうでしたが
これは西坪にこの品質を出せる人が多いのか(少ない?)
火入れの技術と老茶に育てることで消えるのか、今後の課題にしていこうと思います。
どっちなんでしょうね。

当然ながら煎持ちも良く、1日じっくり楽しめました。

西坪 正枞老观音

濃い褐色の葉底です。
しっかり醗酵、火入れされているのと、老茶らしく、元の葉の形には戻っていません。
(逆に言うと老茶なのに葉の形に綺麗に戻るようなら怪しいんですね)
硬さもそれなりにあるのですが、弾力はあります。
葉を開こうとすると1枚1枚は柔らかくて簡単に破れてしまいます。
肉厚で小さめの茶葉です。
しみじみ、いいお茶なんだなと納得できるような綺麗な葉底でした。

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