中国の作り手さんCからいただいた金丝凤庆红茶(金糸鳳慶紅茶)です。
雲南省の雲南工夫紅茶(滇红)の非常に質の良いものになります。
凤庆(鳳慶)というのは地名です。
雲南省の西南部、临沧市にあり、滇红発祥の地として知られています。
そんなこともあってか紅茶の生産が非常に盛んで
この地で作られる紅茶は質の良いものから、そうではないものまで
かなりの比率を占めているのではないかと思います。
凤庆の紅茶に限らず、滇红では金毫(ゴールデンチップ)だけとか、殆ど金毫といった紅茶が
上質なものとされて価格も上昇している傾向にあります。
確かに金毫となる新芽の部分は全体から見て量も少なく、摘み取るのも大変なので
価格が高くなるというのは分かりますが
高い=上質という単純な構図にはならないように思います。
実際、金毫だけで作られた紅茶の殆どは味わいに深みがないものなど
単純で分かりやすい味わいだけど奥行きが無いから飲み続けられないというものが殆どのような。
それと独特の癖も出てきますし、強くはならないとはいえ苦味も出てきます。
これは紅茶だけでなく宮廷普洱茶も同様で(これも基本的に新芽部分のみから作られます)
味わいの深みや奥行きを出すのが難しく、独特の癖が出ています。
緑茶と違い、酸化醗酵や麹菌醗酵を行う茶類はやはりそれなりの成分を保有する
新芽以外の部分を使うことも重要だと思います。
で、その滇红なのですが、多くの滇红は金毫のみを目指してしまったりするので
どうにも味わいに深みが無いものが多かったり、独特の癖があったりして
本当に美味しく、飲み続けられるものを探すのが難しい紅茶だと思っています。
分かりやすい美味しさならあるのですが、それだけなんですよね・・・
という中、自信作だから!といただいたのですが、最初に茶葉を見たときには
あ~中国の人らしい金色の滇红か・・・
なんてちょっと失礼な印象を持っていたのですが、試飲してびっくり。
この金毫の多さでこの深みはなかなか凄いかも。
殆どが金毫という金色の茶葉です。艶もしっかりあります。
鳳慶大葉種を使っているので茶葉の大きさはそれなりにありますが
基本的には芯のみです。
大きさも比較的揃っていて砕けもなく綺麗な茶葉です。
甘い独特の蜜香があります。
鑑定杯の使用はしていません。
赤褐色の綺麗な水色です。
透明度は高いですが、金毫で少し曇っているような感じがあります。
かなり目の細かい茶漉しを使っても通ってしまうほどの金毫の細かさで
大葉種でこれはかなり珍しいと思います。
綺麗な蜜香がありますが、驚くのはその味わいで
しっかりと深みのある奥深い旨みと甘味があります。
これだけ金毫があるのに滇红特有の苦味もなく、爽やかで濃厚といった味わい。
非常にバランスが良いのに驚きます。
金色の滇红でこのバランスってかなり難しいんですよ。
煎持ちも良い方だと思います。
味わいもいきなり落ちる感じではなく、緩やかに薄くなっていく感じ。
5煎以上は楽しめました。
基本的に新芽のみの美しい葉底です。
肥えてる・・・という感じの力強さも感じるような茶葉で見事。
砕けも少なく、大きさも均一。
柔らかさも弾力も充分にあります。
金毫のみの滇红でここまで味わい深いのは滅多に出会えないだけに嬉しいですね。