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This article was written on 03 11月 2012, and is filled under delicious teas, 中華人民共和国, 福建省, 紅茶 Black Tea.

金骏眉

金骏眉

メーカーさんIの金骏眉(金駿眉)です。
2012年のものになります。

金駿眉はとっくにブログアップしていたと思っていたのですが
気が付いたらアップしていなかったことに気が付き、
(そういえば2011年の金駿眉はブログアップすることなく在庫完売してしまいました・・・)
丁度比較してみたい紅茶もあったので贅沢に鑑定杯を使用することに。
本来はそんなことするお茶ではありません・・・(^^;

金駿眉というのは、おそらく世界で一番高価な紅茶であろうと思います。
1斤(500g)8000元(10万円位?)というものや、それ以上の値段が付けられたものもザラにあります。
最近は少し落ち着いてきましたが、バブル状態の中国では大人気の紅茶で
またそれも価格と偽物の多さに拍車をかけています。

福建省武夷山の正山小种(正山小種)のブランドと言って良いと思います。
2005年に新しく作り出されました。
武夷山の風景保護地区の中、標高1000m以上に自生する野生茶樹の新芽のみを使っています。
1斤(500g)の茶葉には6~8万の芽が入っていると言われています。
ちなみに一芽一叶(一芯一葉)のものは银骏眉(銀駿眉)と呼ばれてます。

この金駿眉はその人気からとにかく偽物が多く、
上記のような定義があるからには生産量も僅かである筈なのですが
中国の市場をはじめとしてお茶を扱う場所では至る所に「金骏眉」の文字があります。
岩茶の大紅袍と同じですね。
(大紅袍は今も水仙などをそう名乗って販売している所が多々あります)
中には豪華な見た目で金色をしたものなどまであります。
スモーキーになってしまった祁門を「金駿眉」としたりもしていたりしますし
派手な金色の外観をした「金駿眉」は滇紅(雲南紅茶)あたりだったりするのですが
殆どの人は本物の金駿眉を見ることも、飲むこともあまりないので、
それはそれで通じてしまうのだろうと思います。

この金駿眉は2005年に金駿眉を開発した茶師さんの中の1人が実際に作ったものになります。
お付き合いのあるメーカーさん(というか研究所ですが、メーカーも兼ねています)から直接譲り受けました。
こちらは標高1500m以上の場所で採れたものとのこと。

見事な乌黑(烏黒)色と金色が混じった美しい茶葉です。
縒りはきつく、全て芯(芽)のみで峰苗が多くあることが分かります。
小さ目で大きさが揃っていて砕けもなく、艶が凄くあるのが分かります。
金亳が非常に多く、甘い独特の香りがあります。
正山小種ということで誤解する方もいらっしゃるかもですが、焙煎香はありません。

金骏眉
鑑定杯使用

綺麗な赤褐色の水色です。
透明度が非常に高く、亮度もかなりしっかりしています。
香りはブランデーを思わせる芳醇な果実香から始まり、その後は見事に華やかな花の香りに変化します。
口に含むと更に香りが強く感じられます。
味は綺麗な旨味と甘味のバランスが絶妙で非常に上品です。
若干栗っぽさもあり、分厚く複雑な味の奥行があります。
雑味は一切なく、非常に柔らかく微かな渋味を感じます。これも旨味ですね。
香りの持続性も高く、かなり長く香ります。
言葉で言ってしまえば甘い花の香りなのですが、他にはない深みのある華やかさを持った香りです。
やっぱり凄いですね。

金骏眉
蓋碗使用

見事な褐色の水色です。
透明度が高く、亮度も高いため、茶水が琥珀のように美しく光っています。
ガラスの茶海に入れるとしばらく見とれていられます。
この茶海に蓋碗から注ぐ時点で香りが凄いです。
見事な花果香と深い甘味と旨味、お茶を超えてやっぱりブランデーの域にあるような。
いや、元々上質なお茶はこの領域なんですよね。
流石、美味しい。美味しいという言葉が陳腐に思える程です。
煎も非常に長く、軽く15~6煎は続きました。
最期まで本当に美味しいです。

金骏眉

芯のみの葉底です。
見事に小さく、大きさの揃った葉で非常に柔らかくフカフカです。
砕けも殆どなく、艶もあり、非常に綺麗です。
葉底からもむせ返るような甘い花の香りが出ています。
紅茶の葉底ですが食べてみたところ、まだ茶葉に甘味と旨味が残っていました。結構美味しい。

金駿眉というお茶は、その価格からくるものが一番影響していると思いますが
何にせよ賛否両論のお茶です。
確かに街中に溢れる金駿眉の殆どは偽物という状況ですし、
偽物にも高額なお値段が付けられているものも多くあります。
本物であっても生産者から直接購入しない限りはとんでもなく凄い価格になりますし
直接購入したって結構凄い価格です。
更に言えば金駿眉の中にも様々なレベルや味、香りの方向があり
一口に金駿眉と言っても本当に色々です。

私はこの金駿眉、美味しいと思いますし、購入して良かったと思っています。
もちろん様々な「金駿眉」と呼ばれるお茶をいただいてきましたが
この作り手さんが作る、この金駿眉はまさに紅茶の王様と言うべき仕上がりになっています。
何よりこの美味しさと香り高さは他の紅茶はもちろん、他のお茶には見られません。
芳醇な香りと複雑で高く、品のあるバランスの取れたこの紅茶は
良くある「高価なお茶」と違って飲み疲れることもなく、ずっと飲み続けることができます。
この作り手さんと出会えることができた茶縁に感謝しながら、美味しくいただきました。

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