茶農家さんIの青狮子岩 奇兰(青獅子岩 奇蘭)です。
この茶農家さんは武夷山の青獅子岩とその周辺に代々茶畑を持っていて
小規模ながら、良い岩茶を作っています。
この奇蘭は非常に上質な岩茶が作られることで知られる青獅子岩の中でも
ちょっとメインから外れた、標高の低い場所で作られています。
そのため、青獅子岩にしてはお手軽価格だったのですが
とはいえ、他の地域の単に正岩地域だからという岩茶とは全然違います。
火の程度は中火というところです。
実は最後の火入れは日本で私が行っています。
元々かなり軽火で止めていたのですが、気持ち火入れを行って調整しました。
中火といっても軽めの中火です。
黒褐色に褐色、深い緑色が混ざった茶葉です。
葉の砕けは殆どなく、綺麗な状態で仕上がっています。
艶もしっかりあり、茶葉の大きさも比較的均一です。
お手軽とはいえ青獅子岩。鑑定杯は使用していません。
と言っても火入れを行うのに散々試飲などを繰り返しているのですが。(^^;
金色の透明な水色です。亮度もしっかり出ています。
香りは清らかな花香と火の香り。高さも十分あります。
この品のある花香はほかの奇蘭とは違いますね。いい感じ。
味わいも爽やかな甘さがしっかり感じられます。
それでいて蜜蝋のような茶樹の滋味が根底にあって
清らかで軽やかではあるものの、凄みを感じるような複雑な味わい。
なかなか面白いと思います。
軽めに仕上げたけれども、本来持っているパワーはかなりあるというところでしょうか。
煎を進めていくと柔らかい果汁のような酸味も感じられるようになってきて
これもまた美味。
やっぱりベースがしっかりしていると味わいの深さが違いますね。
少し茶水にも粘性が出てきて余韻が長く続きます。
綺麗な葉底です。
肉厚さもあり、弾力もしっかりあって艶やか。
砕けも火入れによるもの以外はなさそうで、殆どが葉の形をそのまま保っています。
発酵も結構しっかり行われていて
この茶農家さん、やっぱり腕いいなぁと改めて感心。
なかなかどうして奇蘭らしい良いお茶でした。(^^