これは手元にはないのですが、台湾の老師に特別に飲ませていただいた
1980年代後半の約25年前の班禅紧茶です。
写真はその班禅紧茶と専門書籍でお勉強中の図です・・・(^^;
紧茶(緊茶)は1912~1917年に雲南省の佛海茶厂で作られるようになりました。
元々はこのキノコのような心脏型(心臓型)と呼ばれる形をした「宝焰牌紧茶」という名前でした。
238gずつの大きさで7個を1セットとしてチベットへ運ばれていました。
その際、この心臓型の形状のおかげでお茶とお茶の間に空間ができ
茶葉が持つ水分を分散させ、熟成が進みやすくなる利点があったといいます。
下关(下関)茶厂はこの緊茶の技術を受け継いで、同様に生産をはじめるようになります。
しかしながら、1967年にレンガ型の砖茶(磚茶)が作られ始めると
しだいに心臓型のお茶は姿を消し、磚茶や沱茶の形が主流となってきます。
1986年にチベットの高僧である班禅喇嘛(パンチェン・ラマ)が下关茶厂を訪問し
心臓型の宝焰牌紧茶の復活を依頼します。
そうして復刻した宝焰牌紧茶は班禅紧茶、あるいは班禅礼茶と呼ばれるようになり
今でも作られ続けています。
元々は生茶でしたが、近年のものは熟茶で作られています。
熟茶の班禅緊茶は手元にあるので、また改めてご紹介したいと思います。
この老師に飲ませていただいたものは復刻直後に作られた生茶だそうです。
赤味が強い、綺麗な棗色の水色で透明度も亮度も非常に高い茶水でした。
香りはかび臭さもなく、栗のような香りでナッツ系。
味は深みのある強い甘さと驚くようなミネラル感があります。
煎を進めてもへたれることなく、甘さがどんどん洗練されてきて
複雑で分厚い旨みも合わさって、凄さを感じさせる美味しさでした。
おそらく1日中楽しめるような煎持ちの長さだと思います。
この時は老師が別の老茶も試してみましょうということで
(確かに下手したら2日かかっても底が出ないかも)
別の老茶を飲ませていただいたのですが、
あっと気がついたときには葉底は見事に捨てられていたという・・・
せめて葉底、持って帰りたかったです。(^^;
他にもとんでもない緊茶がゴロゴロしていました。
お勉強中の写真です。(^^
※参考資料
普洱藏茶 呉徳亮著 聯経出版事業股份有限公司
深邃的七子世界 陳智同著 五行圖書出版有限公司