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This article was written on 23 2月 2013, and is filled under delicious teas, 中華人民共和国, 雲南省, 黒茶 Dark Tea.

1995年 7542青饼(青餅) 中茶牌

台湾の老師から譲っていただいた7542青饼(青餅)です。
1995年の製造で香港乾倉と台湾乾倉で保管されています。

7542といえば孟海茶厂(孟海茶廠)の名レシピであまりにも有名な生茶です。
茶号からわかるように「75」年に確立されたレシピ(ブレンド)で
「4」級茶葉を使用した、「2」の孟海茶廠で作られたとなります。

現在は民営化されていますが、2004年までの孟海茶廠は国営企業でした。
国内景気が向上した現在とは違い、当時のお茶は海外へ輸出する大事な商品で
特に孟海茶廠のお茶は欧州などへ輸出する重要な商品として作られていました。
この頃の7542は欧州をはじめとした海外へ輸出されるものとして
非常に良い茶葉が使用されていたと言われています。
現在も孟海茶廠は7542の生茶を生産していますが
当時とは同じレシピではあるものの、また変わっているように思います。
近年の7542大益牌のお茶については改めてご紹介したいと思います。

60~70年代ごろは文化大革命などの影響で樹高の高い古茶樹を収穫しやすいように切り戻してしまったり
知らない人が見たら茶園とは思えない、単なる山林のような古茶園ではなく
(中には開墾し直してしまったものもあったと聞きます)
茶樹同士の間隔が狭い「新茶園」が作られるようになってきました。
ちなみに現在、中国国内向けに手ごろな価格で流通している普洱茶の多くは
生産量の多い新茶園のものとなっているようです。
切り戻しされていない古茶樹や古茶園から摘み取られて作られる普洱茶は
かなり価格が上がってしまっているのが現状ですが
やはり美味しさや味の深みといったものは全く異なるように思います。
(現実、新茶園は農薬や肥料の問題もありますが・・・)

ちなみに古茶樹から作られたお茶かどうか
新茶園の茶樹から作られたお茶かどうかなどは、飲み終わった後の葉底(茶殻)を見れば分かります。
このあたりの見分け方はまた改めてご紹介できればと思います。

当時の孟海茶廠は国営企業としてこのような状況下で品質を安定させる必要がありました。
普洱毛茶(原料となる荒茶)の等級
(品質の良し悪しというよりも一芯三葉で摘み取られているといった鮮葉の状態)
産地(茶区)、茶摘時期によって風味が異なる茶葉を
ブレンドして一定の品質や風味を確保する方法が考え出されます。
これによって品質が安定し、長期熟成による品質のバラつきも抑えられるようになります。
普洱茶というのは本当に複雑なお茶で、新芽を多く使用する配合などの場合は
餅茶の間に空気が通らず、長期熟成できない、熟成の旨みがでないといったこともあり
バランスよくある程度成長した茶葉も含めて配合していく必要のあるお茶です。
70年代中ごろから「7542」というような茶号が使われるようになり
いくつかのレシピが確立していきます。
中でもこの7542は生茶の基本と呼ばれるような名レシピで
現在も続いているのはもちろん、他の茶廠もこの7542を基本、目標として生茶を作るような
本当に素晴らしい、バランスの良い生茶です。

90年代の7542は包み紙が中茶牌のものと大益牌のものがあります。
これは中国土産畜産進出口公司雲南省茶葉分公司の中茶牌です。
香港の名茶商が当時の孟海茶廠へ産地などを指定してオーダーしたもので
易武山の茶葉が指定されていたようです。

黒褐色を基調とした餅面で白毫からくると思われる金色が差してあり
艶やかな綺麗な茶葉です。
熟成が進んでいるので端から手で崩せるような感じになっています。
生茶特有の爽やかな香りがあります。
黴臭さなどの異臭は感じません。

餅茶を動かしていた際に自然と崩れた部分のみと
端の熟成が進んで緩くなっていた部分を手で崩しました。
白毫の見事な金色の芯なども確認できます。
葉は大葉種らしく大きめですが、嫩度は結構高そうな感じです。
艶がしっかりあり、良い熟成状態にあるのが分かります。


蓋碗使用

赤褐色の非常に美しい水色です。透明度も亮度も高く、良い熟成状態にあることが分かります。
香りは樟香、棗香、糯米香を感じます。
非常に柔らかく甘みが深く出ています。
ミネラル感を感じる複雑な旨みと
微かな柔らかい苦味と酸味が7542らしい複雑さを出しています。
非常にバランスが良く、厚みもあり、芳醇という言葉が相応しい美味しさです。
美味しい。
元は生茶だったと思えないほどに良く熟成されています。

2、3煎目あたりから華やかな感じに変化してきます。
蘭香も感じられるようになり、更に香りに広がりと奥行きが出てきます。
バランスの良さはそのまま。
ビンテージのブルゴーニュワインのような繊細な広がりがあります。

10煎を越えてもしっかり水色はそのまま。
甘さも旨みもしっかり感じられ、酸味などは殆ど感じなくなっているものの
旨みの複雑さとして感じられるようになってきます。
若干茶水に粘性が出てくるのもこのあたりから。

これも予想通りに煎持ちが非常に良いです。
結局20煎まで続けましたが、まだ楽しめたと思います。

赤褐色の柔らかい葉底です。
自然と砕けた部分を中心に使ったので割りと葉が細かくなってしまっていますが
本来は葉が綺麗な形で残っているのが分かります。
肉厚で柔らかくて、繊細といった感じの葉底で弾力があります。

いくつか葉の形が残っているものを開こうとしたのですが
柔らかさと私の不器用さが重なって自ら破壊することが殆ど。(^^;
何とか完全な状態で開けたのはこれだけですが、嫩度は結構高いのが分かります。
茎はかなり少なめですが、適度には入っていていい感じです。
さすがの配合ですね。

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