漳平水仙の産地といっても結構な広さがあります。
というか、山と茶畑が殆どで集落がその中に点在している感じで
このスケール感は四川とか浙江省、闽北といった地域には無いですね。
同じ闽南でも安渓はまだ人家が多かったのですが
ここはそもそも集落自体が小さくて少ないように思います。
漳平水仙発祥の地を訪問した訳ですが、
この集落自体がかなり標高の高い山の中腹(より上かと思います)にあって
崖?と思うような絶壁に心細く刻まれたような山道を登った場所にあります。
その集落の中の1つ、ひときわ大きな農家が発祥の地とされる茶農家さんです。
できたての漳平水仙をいただきながら茶師さんに色々とお話を伺いました。
意外と若い茶師さんで(たぶん30代半ばかなと)、結構アクティブ。
色々な茶産地を回っても勉強したそうです。
こういった若い人たちに漳平水仙の存続がかかっているんでしょうね。
その後、裏山というか集落自体が山の中なのですが、茶畑を見せていただきました。
最低限の整備、というか殆ど何もできていないという現状は
鈴茶堂のブログに書いた通りですが
ここも他の地域と同じく、かなりワイルドな茶畑状態。
とにかく若い人が残っていなくて、人手が足りないので
もう茶畑の整備はできるどころか、茶摘みすらできない場所も大量にあったという
なんとももったいない状態なのですが・・・
茶畑の中には芭蕉もありました。
南国ですね。ちなみに食べても美味しくないです。
みんなで茶畑という山の中をウロウロしていると竹の花も発見。
日本だと地震が来るとか、あまり良い印象がないのですが
やっぱり場所が変わるとそんなこともなく(笑
珍しい!ここの竹は枯れるんだなぁ〜と切り取って持ち帰っていました。
ちなみにこの地域では地震は無いそうです。
造形工程が工夫されているのが印象的でした。
昔は今まで見てきたように1つ1つ木の型で作っていたそうですが
とにかくこの集落には人手が足りないということで
数年前からこの方式になったそうです。
たしかに、この方が効率良いですよね。
茶摘みや製茶に外部から人を呼んで雇うということができる産地は
やっぱり恵まれているというか
知名度があって「売れる」お茶を作ることができる地域に限られます。
漳平水仙がいくら名前が知られ始めてきたと言えども、まだまだマイナーです。
しかも物価の上昇に合わせた人件費を賄えるほどの価格で売ることも難しいと思います。
また特殊なお茶なので、これもハードルが高いですよね・・・
漳平水仙の中でもこの発祥の茶農家さんのものや
良い場所に茶畑を持っていたり、腕に覚えがある良い品質のものを作る茶農家さんは
やっぱりプライドもありますし、それなりの価格になります。
漳平水仙でもそこそこの企業が参入してきて、出荷量が増えたといっても
先日ご紹介した合同会社などの大量生産可能なものに限られます。
全く変わらないということは無いと思いますが
販路の拡大や価格の調整などは難しい問題です。
よく中国で買い物をする時には値切りましょうとガイドブックなどにありますが
良いお茶を真剣に作っている人たちには値切るのは私はどうも嫌だったりします。
製茶に限らず良い技術には相当の対価を支払うべきと考えるからなのですが
日本ではお茶が安すぎることが多いせいか
無理に強硬に値切ることで損をしている人を良く見かけます。
そもそも良いお茶屋さんや、茶農家さんは最初からぼったくりな金額は言わないですし
少量、1キロ程度しか買わないのであれば高くて当然のことです。
逆に値切って大幅値下げしたら、そこで買うべきじゃないかと思います。信用できない。(^^;
やはり信頼関係が大事なのだと思います。
試飲をするだけして、無理に値切って心象を悪くして良いお茶は出さないとかされてしまう人は
意外と結構いたりするんですよね。売り手も買い手を選ぶ権利があるので。
まだ中国でも知名度が最低って位の頃からずっとおつきあいしていることや
ここ数年、倍々で買い付け量が増えていることもあって
漳平水仙が日本でも認知されてきたというのが
お世話になっている茶師さんもとても嬉しいと思ってくれているそうです。
一度は価格が上昇したこともあったのですが、
最近はおそらく殆ど儲けていないだろうなという価格のまま、ずっと変わらず
むしろ一番良いロットを確保しておいてくれたりして
信頼関係って国や文化に関わらず大事だなと改めて思います。
おかげで大きく円安に振らない限りは何とかうちも価格を変えずに出せます。(笑
まぁ漳平水仙に限らず他の地域の茶農家さんたちも同じ感じなのですが。
ありがたいです。